研究概要 |
本研究は都市部在住の壮年期住民を対象に、ソーシャル・マーケティング理論の枠組みを用いて、保健行動の決定要因とニーズ、健康課題に基づく対象の細分化を行い、各セグメントの特性に応じた生活習慣病予防を中心とする健康づくり支援システムを実証的に開発し、新たな地域看護活動の方法論を提示することを目的としている。 本年度は、対象フィールドの健診受診推進ターゲット候補の選定を行うことを目的に、国保被保険者の特定健診並びに30歳代生活習慣病予防健診結果データベースから、男女別に脳心血管疾患に関わる生理的指標と生活習慣、行動変容のステージを分析し、重要な介入時期について検討した。分析対象とした健診受診者は男性12,399名、女性18,741名である。結果、男性は、40~50歳代でBMI、脂質代謝悪化のピークを迎え、60歳代以降低下するが、収縮期血圧、糖代謝は年代の上昇とともに悪化し続けた。女性では、40~50歳代にかけて、LDLコレステロールと収縮期血圧に大きな悪化が認められた。好ましくない生活習慣を有する者の割合は、男女ともに40歳代で高いが、行動変容の関心期~準備期にあたる者の割合も40歳代が最も高かった。したがって、30~40歳代を健診受診推進ターゲットとすることが効果的であると考えられた。 そのため、30歳代健診受診者を対象とし、健診受診行動に関わる要因を明らかにすることを目的としてインタビュー調査を実施し、現在、質的帰納的アプローチにより分析を行っている。
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