研究概要 |
【目的】壮年期層の生活習慣病健診受診率向上に向けて、国民健康保険被保険者(以下、国保)、被用者保険被保険者(以下、被用者保険)の2群間の健診受診に関わる特性の比較を行うとともに、健診受診に関わる保健信念の構造を明らかにし、健診受診との関連性を検討した。 【方法】web調査会社の30~59歳の男女登録モニターから9,356名を無作為抽出し、調査案内を電子メール配信し、回答期間内に回答した先着2,809名を解析対象とした。調査項目は、医療保険の種類、基本属性、保健行動、主観的健康感等と、健診受診に関する保健信念である。1)国保、被用者保険の2群間において、その特性を比較検討するため、比較分析を行った。2)健診受診に関わる保健信念の構造を明らかにし、健診受診との関連性を検討するため、健診受診に関わる保健信念36項目について、因子分析を行い、同定された各因子と過去1年間の健診受診の有無、これまでの健診受診頻度、並びに今後の健診受診の意向の間で相関を求めた。 【結果と考察】1)国保では、健康度が低く、望ましい保健行動が取られていない割合も高いことが示された。国保では、未婚率の高さや経済状況の厳しさ、また学歴の低さとともに、幸福感の低さが認められ、今後これら背景因子を踏まえた、健診受診促進策の検討が必要であると考えられた。また、「健康を失う可能性の自覚」以外の全ての健診受診に関する保健信念のコンストラクトにおいて、国保と被用者保険との間で有意差が認められた。2)因子分析の結果、健診受診の保健信念は「健診受診の障害」、「病気への不安」、「健康の必要性」、「健診への親和性」の4因子構造を示した。健診受診との相関が最も強いのは「健診受診の障害」であり、壮年期層の健診受診促進には、「健診受診の障害」を取り除くことが最も有効であることが示唆された。
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