研究概要 |
【(1)文献検討:保健師の現任教育における研究的取り組みの意味】地域看護学のテキスト類を分析した結果、研究の意味として構造的な保健師の専門能力の発達が確認できた。保健師の人材育成に関するガイドライン等の分析結果より、経験年数別保健師に求められる能力に、研究能力はあげられていたが、自身の実践活動から研究的取り組みを通して有効な知見をえる能力は挙げられていなかった。また、文献検討の結果、保健師の研究的取り組みは実践を振り返る、実践に活かすことがポイントであることを確認した。 【(2)文献検討:実践に関する研究の遂行と看護実践能力との発展との関連】看護職者が自らの実践を素材に研究に取り組むことによる看護実践能力にもたらす効果と、その研究方法を概観した結果、効果は,「専門職として自己を成長させる力の向上」など12カテゴリが見出され、今後,自らの実践を素材にした研究の遂行と看護実践能力との関連性を明らかにする研究の推進,また,実践に関する研究を行った看護職者に効果をもたらす支援に関する研究の推進の必要性が明らかになった。 【(3)保健師の課題解決に向けた共同研究における大学教員の支援方法の調査】保健師と共同研究を実施した大学教員4名(5研究)の1年間の支援内容を調べた結果、「より質の高い実践に向けて支援をする」など4カテゴリが明らかになり、その特徴は、どの段階に於いても実践と研究とを関連づけていくことであり、共同研究の実施は参加保健師の意思に関わるだけに流動的であり、その姿勢や環境への支援も重要であることが確認できた。 【(4)共同研究を実施した保健師の成果に関する調査】(3)で共同研究を実施した保健師22名の内12名にグループインタビューを実施し、共同研究によりどのような学びを得たか調査した。全ての対象者から研究的取り組みによる学びは語られ、(1)『課題を解決していくための実践方法の明確化とその必要性・重要性に関する学び』など8つにカテゴリ化された。課題解決を図るための研究的取り組みを行うことやその過程が、保健師の人材育成になり得ていることが確認できた。
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