研究課題/領域番号 |
22592557
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石丸 美奈(坪内美奈) 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (70326114)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 保健師人材育成 / 現任教育 / 研究支援 |
研究概要 |
【①文献検討:保健師の現任教育の実態の調査】行政保健師の現任教育に関する国内文献のレビューにより、現任教育の実態や研究方法論の特徴を明らかにし、保健師の実践能力向上に寄与する現任教育のあり方について検討した。今後、保健師の研究的取組み支援を現任教育に組み込んでいく方法を検討する上で、現状の現任教育における課題と今後のあり方を考察することができた。 【②保健師の現任教育における課題解決を図るための研究的取組みの現状と課題の調査】3県13の現任教育プログラムについて、保健師の課題解決を図るための研究的取組みの現状と活用可能性について各県の人材育成担当保健師計5人にインタビュー調査を行った。その結果、今後、現任教育の中で研究的取組みを推進する上では、活動の振り返りを促すような研修企画力と、職場内外の支援者の存在が課題であった。 【③共同研究を実施した保健師の成果に関する調査】教員と共同研究(5研究)を実施した保健師25人の質問紙調査結果とその内14人のインタビュー調査の結果の統合により、共同研究の遂行による保健師の成果として、3つの主要テーマ「協働が創出する学習の機会」、「実践の改善」、「実践の改善の継続性」が得られた。これらから、研究の実施と、実践の改善、保健師の実践能力の向上との関連が明示され、かつ、外部資源としての大学教員が有効であった。 【④保健師の業務研究による成果と課題の調査】A県の自治体保健師を対象に郵送法による自記式質問紙調査を行い、491人の分析結果から業務研究の成果と課題を保健師就業年数群別に明らかにした。活動の充実,ひいては人材育成につながる業務研究の方法として、成果の意識化や新人期の学習の機会創出、管理期による調整・支援等が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
業務研究の遂行が実践の質の向上、ひいては人材育成の面においてどのような成果をもたらしたのか、業務研究の評価の調査(郵送調査およびインタビュー調査)を実施し、調査分析をすすめた。また、保健師の課題解決に向けた研究的取り組みにおける大学教員の支援方法の調査については、結果を分析し、投稿の準備を進めている。その他、実施した調査の結果をまとめ国内外の学会で公表した。以上より、当初予定した研究の目的は達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで3つのパートに分けて研究を実施してきた。第一は、文献検討とインタビュー調査により、保健師が実践の中で研究に取り組む意味と現任教育の中での位置づけを整理し、実践の中での研究の遂行が及ぼす成果、特に看護実践能力向上との関連をみながら、効果的な研究のあり方について検討した。第二に、看護学教育・研究者による研究的取組みを活用した保健師への課題解決支援の方法について、筆者ら自らの支援方法も含めて調査を実施した。第三に、その研究的取組を実施した保健師の学びに関する調査である。その成果の特徴を明らかにするために、一般的な階層別研修を受けた保健師の学びと比較した。 今後、本研究の最終年度においては、これらの3つの研究を統合し、保健師の専門性に依拠した研究的取組み支援について、実現するための課題や論点を整理し、現任教育として実効性のある方法を提示したい。
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