保健師の研究的取組みと人材育成を統合させた現任教育を検討するために、業務研究を取り上げ、保健師自身が評価する業務研究の成果を明らかにした。第1段階で、業務研究を現任教育に位置づけ、成果発表の機会を年1回もっているA県の自治体保健師に自記式質問紙調査を行った(有効回答491人)。保健師自身が成果があったと評価する業務研究とは、業務研究のプロセスや結果が、活動の改善・充実や対象者への良い影響、職場内外の連携の深まり、職場内の人材育成をもたらし、その後の実践の広がりと継続性に寄与したものであった。 第2段階として、上記の質問紙調査に回答し、対象選定基準を満たし、承諾の得られた保健師を対象に、最も成果があったと評価する業務研究について半構成面接を行い、業務研究により向上した保健師の能力を明らかにした。分析対象者は8名、語られた業務研究は9であり、業務研究を通して向上した保健師の能力は、33カテゴリ、7つの大カテゴリに集約された。 質問紙調査の調査対象であったA県保健師には、A県業務研究発表会の時に、調査結果を報告書および口頭で還元した。参加者は約130名であった。 さらに、実践上の課題解決、ひいては保健師の専門職としての成長につながる研究への看護系大学教員の支援方法の特徴を明らかにした。保健師の研究を支援した経験があり,保健活動上の成果を感じている看護系大学教員を対象に,半構造的インタビューによりデータ収集し,6名から語られた9事例を質的に分析した。保健師の研究的取り組みに対する教員の支援方法は、4つの段階と全体のプロセスを通じて、50カテゴリが抽出された。そして、「実践上の課題解決に向けて、より良い看護実践となることを意識して科学的方法を用い、研究と実践活動の循環を促し、実践の質の向上を導く」など5つの支援の特徴を考察した。これを学会誌で成果公表した。
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