研究概要 |
本年度は、「生存権を護る保健師活動」に関する保健師の面接調査の継続と,活動内容の検証のために質問紙調査を実施した。 面接調査から「生存権を護る保健師活動」項目として、11カテゴリ、44項目を抽出した。しかし「生存権を護る活動」事例は過去の活動が中心であり本活動項目が現代の保健師の「生存権を護る活動」としても重要であるかを検証するために、全国の保健所・保健センター各100か所の保健師および看護系大学100か所に勤務する保健師経験を持つ教員に質問紙調査を実施した。その結果、保健所、保健センター保健師から226名、教員から47の回収があった。分析の結果、回答者の年齢は保健師44,8歳(SD8.3,最大62、最少27)、教員46.8歳(SD8.9)であった。「保健師の生存権を護る活動」に関して重要度について、保健師が「重要である、やや重要である」を合わせた回答が8割以下であったのが,「マスメディアや支援団体を通じるなど広く知れ渡るような方法で社会の人々に健康被害・問題の状況を提起する」保健師54.5%(教員60.1%),「学術的な場などで関係者に健康被害・問題の実態について公表する」66.2%(教員84.8%),「健康被害・問題を持つ対象者や家族の状況や苦悩を代言する」71.6%(教員80.4%)であった。これらはいずれも【健康被害・問題がある対象者の声を代言する】のカテゴリに含まれる項目である。そのほかの項目については,保健師、教員とも8割以上が「重要である,やや重要である」と回答しており、生存権を護る保健師活動として重要な項目であることが確認された。 今後は今回比較的重要度が低かった【健康被害・問題がある対象者の声を代言する】活動の是非について検討するとともに「生存権を護る保健師活動」について活動を定着するための基礎教育・現任教育の教材および教育方法を検討する。
|