研究概要 |
[研究の目的] 睡眠の改善は抑うつ及び認知機能の改善に結びつく可能性が示唆されている。本研究は、地域高齢者を対象とした無作為割付比較試験において、睡眠衛生教育および睡眠認知行動療法(CBTI)を用いた睡眠改善プログラムの高齢者の睡眠、抑うつ、認知機能、Quality of Life(QOL)のへの効果を検証することが目的である。 平成22年度はプログラム作成のための睡眠実態調査を行った。平成23年度は睡眠改善介入プログラム実施と抑うつ症状および認知機能への効果検証が主要な計画であった。 [平成23年度実施内容] 1.協力自治体の保健師および看護師に、睡眠改善介入プログラムを行うための睡眠に関する教育(睡眠の種類とメカニズム,加齢と睡眠の変化,睡眠障害,良い睡眠を得るための生活指導,睡眠認知行動療法のポイント)を行った 2.1農村地域にて,研究参加の同意を得た高齢者(60歳以上)54名を対象に,昨年度の睡眠実態調査をもとに作成した睡眠改善介入プログラムを実施した。 3.介入群(A)と非介入群(B)に無作為クロスオーバーにて,ベースライン調査と睡眠測定を行い,睡眠改善介入プログラムを実施した. (1)睡眠測定は,自宅に訪問し脈波解析機能付き簡易腕時計型体動計を用い3日間測定した. (2)平成23年10月にAグループへのベースライン質問票調査(面接)と睡眠改善介入プログラムを実施した(Bグループが対照。Bグループへのプログラムの実施は、調査終了後の平成24年2月に実施した)。約4ヶ月後の平成24年2月、A,Bグループに効果判定質問票調査(面接)を行った. (3)ベースラインおよび効果判定質問票は、基本属性,生活状況,認知機能,抑うつ,Q0L,睡眠の状態などの項目を含む. (4)睡眠介入プログラムは集団教育,睡眠計の結果説明と個別指導,2回の電話フォローアップからなり、1の教育を受けた保健師らによつて実施した. 4.上記をまとめ睡眠改善介入プログラムマニュアルを作成し、協力自治体に還元した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の計画は全て終了し,研究の遂行は順調であった.しかし,対象が高齢者であったため,睡眠の測定を行うために自宅に睡眠計を届けたり,測定ミスによる再測定や交通の便が悪さから複数回の教育を行わなければならなかったりし,費用と時間が計画以上にかかったため対象者数が予定より減少したことは不足な点である.睡眠改善介入プログラムの実施マニュアルを作成し,協力いただいた自治体に研究成果を還元したことや,平成22年度に実施した睡眠実態調査の結果をまとめ学術誌および学会に発表したことは評価される.現在、さらに2つの論文を執筆である。
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