【目的】地域医療システムづくりを推進する保健所保健師の"連携"機能を探求することを目的とし、研究の初年度にあたる平成22年度は、地域医療システム構築を推進する役割を担っている保健所保健師が、関係者とどのように連携づくりを行っていくのか、そのプロセスを明らかにすることを目標とした。【研究実施計画】文献検討をし課題の明確化を行った上で、個別インタビュー調査を実施し、上記のプロセスを検討した。 【結果及び考察】1)内外の文献を検討した結果、行政保健師の連携機能は、(1)明確に整理されている状況ではないが、(2)多機関や多職種が同じ目標に向かって情報を共有し協働できるように支援することであり、その対象も個人だけではなく、組織や地域住民という集団としてる。また、(3)情報の交換や協働、それぞれの関係機関や人的物的資源の調整を担うことであると整理できるのではないかと考えられた。2)個別インタビュー調査は6名を対象に実施した。当初、一人1時間~1時間半を設定していたが、2時間~3時間と長時間に渡った。分析の結果、地域医療保健システムの構築に関わった保健所保健師は、関係者の中で最も立場の弱い職種(調査の事例では"福祉職")が、(1)関係職種の話合いの場の内容が理解できるように、内容の説明を行ったり、共通言語で話せるように調整したりしており、立場の弱い職種のエンパワメントを推進していた。この過程は、保健師自身の専門的知識を確認したり、情報発信技術を高めたり、チームの中での役割を確認したりする変化を伴っていた。分析は理論的飽和まで至っておらず、次年度に追加の調査を実施し、より明確が分析を行うことが課題である。
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