研究概要 |
【目的】地域医療システムづくりを推進する保健所保健師の“連携”機能を探求することを目的とし、昨年度はその機能を個別インタビュー調査を通して探求した。それを踏まえて本年度は、アンケート票を作成し数量的に保健師機能の特徴を明らかにすることを目的とした。 【研究実施計画】インタビュー調査の結果を踏まえ自記式質問紙を作成し、全国の県型保健所(371箇所)で地域連携づくりに関わっている保健師を対象にアンケート調査を実施。 【結果及び考察】1)回答数292(78,8%)、回答した中で①保健所が医療連携に関与している219件(75%)、関与していない73件(19.7%)、②関与している保健所の中で保健師が関わっていると回答したものは148件(67,6%)であった。2)保健師の平均年齢49.2歳、事業担当平均年数2.3年、職位では係長級49名(33,1%)であった。2)保健師の関与で多かった(かなり担っている、少し担っている)のは、①関係機関が主催する多職種・専門職の研修や集まりに参加する125人(84.5%)、②会議や作業部会のメンバーの意思決定を尊重する119人(79.1%)、③関係機関の長と連携会議開催前後に連絡を取ったりする109人(73.6%)、④調査のデータなどの情報を参加者の誰でもが理解しやすいようにする116人(78.4%)、⑤関係者への研修会の当日の運営をする108人(73.0)%などであった。3)保健師の関与で少なかった(あまり担っていない、ほとんど担っていない)のは、①住民への説明会で実際の説明をおこなう109人(73.6%)、②住民への説明会の会場の準備や案内を発送・発信する103人(69.6%)、②住民の説明会や説明用パンフレットの作成の企画をする89人(60.6%)などである。従来重要とされてきた地域診断や個別事例の分析などへの関わりが、予想より少ない結果であった。
|