本研究は、筆頭研究者がわが国で初めて開発した認知症ケアのアウトカム評価方法を活用し、認知症ケアの質向上に役立てるシステムを構築することである。本年度の目的を以下に設定し研究を行った。1.現場に定着、浸透できるように認知症ケアのアウトカム評価方法のシステム化を行う。2.1のシステムを使って、認知症患者を評価し、実施されたケア、アクションプランとの関連を客観的に分析する。3.アウトカム評価とアクションプランを迅速に効果的に立案・実施する効果・効率的なシステムをつくる。以上、今年度は認知症ケアのアウトカムを高めケアの質改善システムの構築の基礎づくりを目指した。その結果、1、アウトカム評価方法の手引書を作成し、病院や施設、在宅ケア機関に配布した。また、ソフト化してコンピュターで分析できるシステムを開発した。2、グループホーム、小規模多機能施設において実際に認知症高齢者に適用、使用してもらい、アクションブランを職員とともに作成し、実践、アウトカムを高めることができた。3、グループホームにおいて絵画療法の介入評価にアウトカム評価票を使い、アウトカム測定ができた。4、在宅や病院、施設の看護職にアウトカム評価票を使用してもらい、他尺度(MOSES)との相関分析等を行い、信頼性、妥当性の確認ができた。以上より、認知症ケアのアウトカム評価を基盤とした質改善の基礎システムが構築できた。
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