本研究の目的は、膀胱留置カテーテル抜去後の排尿障害について、看護師レベルで活用可能なアセスメント・ケアガイドを作成・実施し、その有用性と妥当性を検証することである。今年度は、膀胱留置カテーテル抜去後の排尿障害についてのアセスメント・ケアガイドの原案を作成するために、文献検討し原案の作成を行った。同時に、看護師の排尿についてのアセスメント能力を知るために、看護教員や臨床指導看護師を対象とした調査を行った。その結果、教員や臨床指導看護師であっても、膀胱留置カテーテル抜去や排尿障害に関するアセスメントが十分でないことが明らかとなった。また、地域高齢者の排尿状態を知るために排尿自立への手引書を作成し調査を行った。その結果、対象の約50%が尿失禁や夜間頻尿を、約70%が頻尿の症状を有していた。ICIQ-SFとQOL(r=0.628)、I-PSSとQOL(r=0.720)では相関がみられ、早期での問題解決の必要性が示唆された。老人保健施設に入所していう高齢者の排尿状態を調査した結果では、約9割が蓄尿障害または尿排出障害、尿失禁を有していた。定時の排尿誘導は尿失禁を予防するために有効である一方、蓄尿機能を低下させる可能性も示唆された。上記結果をもとにアセスメント・ケアガイド原案を一部修正した。膀胱留置カテーテル抜去後の排尿障害についてのアセスメント・ケアガイド原案に基づく介入は、一般病院と介護老人保健施設を対象とし、研究者がスタッフと共に試行した。介入期間は、膀胱留置カテーテル留置の適応のアセスメントから抜去後の排尿確立まで約五週間とした。排尿状態の評価は、ケア介入を行いながら排尿状態等をモニタリングして行った。その結果、対象は、膀胱留置カテーテルを抜去でき、コンチネンスの状態を維持できた。
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