研究課題/領域番号 |
22592585
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
大西 香代子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00344599)
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研究分担者 |
北岡 和代 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (60326080)
中原 純 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (20547004)
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キーワード | 倫理的悩み / バーンアウト / 倫理的感受性 / コーピング / 精神科看護師 / 質問紙調査 / 国際比較 |
研究概要 |
本研究は、バーンアウトにつながるとされている倫理的悩みが倫理的な感受性の高さと関連している、即ち、存在する倫理的問題に気づくからこそそれに悩むことを検証し、さらに、倫理的悩みを感じていてもバーンアウトに至らないようにする方策を検討することが目的である。平成23年度は、これまでの研究成果の論文作成のほか、日本での調査結果の分析、海外での調査実施に向けた取り組みを行った。 日本の調査は、倫理的悩み、倫理的感受性、バーンアウト、コーピングの4つの尺度を含んだ質問紙を精神科看護師対象に実施、918名から回答を得た。予測通り、倫理的感受性、特に「道徳的強み」の要素と倫理的悩みは正の相関があり、よい看護を行っているとの自負を強く持っている人は、その実践の妨げとなる現実の問題に強く悩むことがわかった。この結果についてはオックスフォードで開かれた学会にて発表した。 海外での調査実施に向けての取り組みでは、何度かEメール上で意見を交換し、協力を約束してくれていたカナダ、アルバータ大学の研究者から最終的に実施困難との返答がきた。そこで、オックスフォードの学会で得た知己に連携を呼びかけ、結局、フィンランド、トゥルク大学のMaritta Valimaki教授と協力してフィンランドでの調査を行うこととなった。質問紙のフィンランド語への翻訳のほか、現地での実施に向けた研究会議を持った。 看護を取り巻く状況や価値観が異なる国との比較研究を行うことで、倫理的感受性と倫理的悩みの関係がより明確となり、またバーンアウトとの関連から防止策が検討できるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度中に海外での調査を行う予定であったが、当初協力を約束してくれていたアメリカに次いで、カナダとの連携も進まず、そのため調査実施が24年度に持ち越されてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、フィンランドでの調査実施を秋に行う予定である。対象の選定と実施方法が、できる限り日本での実施と同じになるように注意し、データの比較ができるようにする。 それと並行して、日本のデータをさらに詳しく分析し、倫理的感受性からバーンアウトに至るモデルの適合性などを探っていくとともに、バーンアウトとコーピングの関連についても検討する。その結果を学会で発表し、論文としてもまとめていく予定である。
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