研究課題/領域番号 |
22592586
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂元 眞由美 (川島 眞由美) 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (10437444)
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研究分担者 |
松本 大輔 畿央大学, 健康科学部, 助手 (20511554)
森岡 周 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20388903)
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キーワード | 認知症高齢者 / 音楽 / 機能的赤外分光法:f-NIRS / 自律神経 / 脳活性化 / 前前頭葉 |
研究概要 |
我々は2007年~2009年重度認知症高齢者に対し音楽療法研究を実施し、好みの音楽の受動的聴取または能動的歌唱の両者共に短期的精神安定効果があることを自律神経の変化で確認した。一方、長期的効果においては関心・注意・感情機能に焦点を当てた音楽提供者の意図的介入による能動的音楽活動によって生活機能の改善効果、さらに受動的音楽聴取による機能維持が認められた。このような結果から、好みの音楽を受動的に聴取することも重度認知症高齢者に何らかの影響があることが示唆された。そこで2010年度は、音楽療法で使用した音楽刺激自体がどのような影響を及ぼすのか、その効果を自律神経指標(心電図)と脳活動指標(機能的赤外分光法:f-NIRS)を用いて精神面と前頭葉の活性化に焦点をあて、まずは、測度を自律神経(心拍数・LF・HF・LF/HF)の変化および前前頭葉の酸素化ヘモグロビン・脱酸素化ヘモグロビンの変化を用い、基礎的データを得るため健常な成人を対象に検証した。結果、全ての音楽刺激で自律神経はリラックスを示したが、前前頭葉が音楽刺激の違いによって活性化を示す場合とリラックスを示す場合があることが明らかになった。 2011年度は、この結果をもとに高齢者に対して検証を進めたが、対象が高齢者であるため自律神経に影響をおよぼす基礎疾患や難聴を有することが多く、本年度中に被験者数が必要数に満たされず計画が延期している。今後は、2012年6月末に高齢者対象の実験を終了する予定である。さらに、認知症高齢者に対しても、同様の事態が生じると予測し、同時並行して認知症高齢者の参加者を募り、現時点でプレテストを行ない実験内容の検討を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究の測度が自律神経(心拍数・LF・HF・LF/HF)の変化および前前頭葉の酸素化ヘモグロビン・脱酸素化ヘモグロビンの変化であるため、基礎疾患や薬剤の影響を受けやすい。2011年度の対象は高齢者であったため、研究に必要な参加者を年度内に満たすことが困難となり、研究期間が延長した。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者に対しては、6月末までに実験を終える予定であるが、認知症高齢者に対しては、参加者条件を満たしても協力を得ることは容易ではないため、現時点で関西地区の施設(対象数約300名)に対し、募集している。この結果をうけ、認知症高齢者への実験を6月には開始できるよう倫理規定に基づいた説明を協力者に対し順次行なう予定である。
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