研究課題/領域番号 |
22592587
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
堤 雅恵 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80280212)
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研究分担者 |
野垣 宏 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10218290)
小林 敏生 広島大学, 保健学研究科, 教授 (20251069)
留畑 寿美江 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40360995)
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キーワード | 認知症 / アクティビティケア / 睡眠・覚醒パターン |
研究概要 |
認知症高齢者の睡眠障害への対応は高齢者ケア領域における重要な課題となっている。本研究の目的は、認知症高齢者の睡眠・覚醒パターンの詳細な実態を明らかにするとともに、認知症高齢者の特性にもとづいたアクティビティケアの実施および効果の検証を行うことである。 平成22年度は、療養型医療施設1施設の認知症専門棟に入所中であった高齢者のうち、睡眠薬を服用していない、病状が安定しアクティビティケアへの参加が可能である、意識レベルが維持され、睡眠中あるいは覚醒中であることの判別が容易であるなどの条件を満たした9名を対象に、7日間の睡眠・覚醒パターンの実態を調査し、うち1名には、実態調査後に1日1時間のアクティビティケアを7日間連続して実施し、介入効果を検討した。 実態調査の結果、対象者の総睡眠時間は9.5±1.0時間、夜間最長睡眠持続時間は6.7±1.6時間、夜間覚醒時間は0.8±0.7時間、昼間睡眠時間は0.7±0.4時間であった。全ての睡眠指標に男女差はなく、相関分析の結果、入所からの経過日数、BI、N-ADL、HDS-R、CDR、CMAI、NMスケールの値が睡眠指標の関連要因としてあげられた。重回帰分析の結果、総睡眠時間ではN-ADL、CMAI、HDS-R、夜間最長睡眠持続時間および夜間覚醒時間では入所からの経過日数、昼間睡眠時間ではN-ADLとの間に有意な関連性が認められ、なかでも、入所からの経過日数が多いほど夜間覚醒時間が短かった等の結果から、入所生活への順応が睡眠・覚醒パターンに好影響を与える可能性が示唆された。この結果は、本年9月に開催される日本認知症ケア学会で発表する予定である。アクティビティケアによる介入効果の結果については現在分析中である。平成23年度はさらに対象者を増やした実態調査を行うとともに、認知症の特性とアクティビティケアの効果との関連について検討する予定である。
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