研究課題/領域番号 |
22592588
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研究機関 | 宇部フロンティア大学 |
研究代表者 |
生田 奈美可 宇部フロンティア大学, 人間健康学部・看護学科, 准教授 (70403665)
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研究分担者 |
廣瀬 春次 山口大学, 大学院・医学系研究科保健学専攻, 教授 (30181209)
梅木 幹司 山口福祉文化大学, 社会福祉学部, 講師 (50572195)
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キーワード | スピリチュアリティ / 配偶者喪失 / 死別 / 高齢者 / 精神的健康 / 尺度開発 |
研究概要 |
喪失体験を経験することの多い高齢期の人々の中で、配偶者を死別で亡くした高齢者の健康に、スピリチュアリティ概念を投入し、精神的健康を高めるための方策の検討を本研究目的とする。 当該年度では、配偶者を亡くした経験をもつ高齢者は、有配偶高齢者と比較して、精神的健康やスピリチュアリティの構造や内容に違いがあるのかを検討するとともに、配偶死別高齢者スピリチュアリティを評定する尺度を開発した。 その結果、配偶死別高齢者のスピリチュアリティ構造は、有配偶高齢者のスピリチュアリティ構造と異なることがわかり、配偶死別高齢者のスピリチュアリティ構造を捉えることの意義が提示された。また尺度開発に関しては、前年度の質的帰納的な検証から抽出された配偶死別高齢者のスピリチュアリティを構成する8つの因子構造(スピリチュアルペイン、存在の意味の探求、ひとりで生きる、繋がりの実感、感謝の気持ち、自己を超越したものへの関心、超越した存在への故人の配置、新たな「わたし」意識)をもとに、抽出された因子の因子構造について確認的因子分析を行った。配偶死別高齢者のスピリチュアリティは、5つの因子構造(自己、他者、環境との調和、個人として生きていく覚悟、生きる意味や目的の探求、霊的存在としての故人の再配置、自己存在への問い)に再構成されることが確認できた。この5つの因子構造について信頼性・妥当性の検証を進めた結果、5つの下位尺度、26項目からなる、配偶死別高齢者スピリチュアリティ尺度;SAS-EBLS(Spirituality Assessment Scale of the Elderly Bereavement who have Lost Spouse)が開発された。本尺度の構成概念妥当性と併存的妥当性が確認され、26項目全体のCronbachのα係数は.90で、5下位尺度は.71~.86であり内的整合性も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者確保が困難であると考えられていた、配偶死別高齢者スピリチュアリティ尺度の開発が終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
開発された配偶死別高齢者スピリチュアリティ尺度と精神的健康度について、配偶者との死別を経験した高齢者が、自らの人生を回想することによって、どのように改善されるのか、そして、回想した経験をどのように意味づけるのかについて、検討していく。対象者の精神的苦痛のアセスメントを行いながら、悲嘆状況の表出による苦痛がないような対応をすることが必要である。
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