研究課題/領域番号 |
22592590
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研究機関 | 聖マリア学院大学 |
研究代表者 |
濱野 香苗 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (60274586)
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キーワード | 高齢者 / 離島 / QOL / インフォーマルサポート |
研究概要 |
日本の全国の高齢化率は平成22年には23.1%となり、さらに増加することが予測されている。家族構造の変化などから介護を含めた高齢者問題は避けて通れない状況である。平成12年4月の介護保険法の施行に伴いフォーマルサポートが提供されるようになったが、離島においてはサービス提供が十分ではなく、フォーマルサポートに格差が見られる。離島に在住する高齢者の保健医療福祉サービスの充実へのインフォーマルサポートの有効活用の示唆を得ることをねらいとして、平成23年8月~平成24年3月、半構成的質問紙およびインタビューガイドを用いた面接調査を行った。A島在住の65歳以上の高齢者87名(男性26名、女性61名)から協力を得た。平均年齢は77.1歳であった。生活満足度は古谷野らの生活満足度尺度Kを用いて、9点満点の0~8点、平均2.72点であった。生活満足度の高得点群(以下高群)は16名、低得点群(以下低群)は12名で、高群12名、低群10名から協力を得た。高群は老人会、ボランティア活動、観音講、信徒会、琴やカラオケグループ、高齢者の集いなどいずれかの組織に参加しており、参加することは楽しみや生きがいだけでなく仲間同士の悩み事の相談の機会になっていた。低群も2名を除いて同様の組織に参加していたが、相談相手・楽しみのプラス面だけでなく、人間関係に気を使うなどのマイナス面も聞かれた。民生委員や区長、家族・親戚・隣近所・友人などからのサポートの授受は、高群では相談などの心の支えの授受、野菜・魚・おかずなど物質的な授受であった。低群では相談相手や食材をもらうサポートを受けているが、自分はサポート役割を取れない人が半数以上であった。A島のインフォーマルサポートの特徴は野菜・魚・おかずなどの授受が日常的に当たり前として自然に行われているところであり、その維持を望む発言が多く聞かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度の結果を受けて、平成23年度は生活満足度の高低を基準にして、A島在住高齢者のインフォーマルサポートの状況を丁寧に聞き取り調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高齢者をサポートする立場にある介護保険第2号被保険者を対象に、高齢者のQOL維持・高上へのインフォーマルサポートの活用法についてグループインタビュー法を用いて調査を行う予定である。仕事をしている年齢の対象者であるため、研究に同意が得られない場合は、グループ数を減らしたり、個別インタビューに切り替えることを考えている。
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