研究概要 |
平成23年度の研究結果、被虐待高齢者あるいは養護者が保健師の介入の受け入れが可能であれば、保健師は多様な方策を駆使し、被虐待者と養護者の分離の判断根拠をアセスメントし分離に際し支援を行っていた。そこで本研究では被虐待高齢者や養護者が支援者の介入拒否をする要因を明らかにし、行政保健師が介入拒否者へどのような方策をもって支援が可能になったか明らかにすることを目的とした。研究目的を達成するための情報を持つ人を選定するため,質的記述的研究に適切とされる便宜的サンプリングを用いた。まず本研究に関連する高齢者虐待相談を受け,介入拒否の経験のある関東地方の行政機関に所属する保健師に研究協力と他者の推薦を依頼した。以上により研究協力者10人を選定した。 データ収集はインタビユーガイドを用い,60分から90分の半構造化面接を平成24年10月~平成25年2月にかけて各協力者に一回行なった。研究の主旨説明を行い各保健師自身の支援体験から,高齢者虐待を行った養護者と被虐待者のいずれかから介入拒否のあった事例に対する介入の方策はどのようなものであったかなどについて,対象者が希望した場所で面接を行った。 その結果,介入拒否の要因は【今の生活を変えたくない】【被虐待者と養護者の長期にわたる夫婦の人間関係の悪さ】【虐待者の言い分だけ聞く人には相談したくない】 【養護者は精いっぱい介護しているという思いがある】【経済的に困難】の5つのカテゴリが抽出された。介入のきっかけは【被虐待者の状態が急変】【介護者の状態が急変】【養護者の気持ちを受け入れた】【養護者が信頼している医師等に説得してもらった】【自己負担が少ないサービスの紹介】の5つが抽出された。保健師は高齢者虐待介入拒否事例に対し、何故介入拒否するのか高齢者の気持ちを把握し、介入に際し主治医、近隣住民、ケアマネジヤーなど周りの人々と協働活動を実践していた。
|