本研究の目的は、地域で生活している統合失調症をもつ人に対して外来看護師が支援するセルフマネジメントのケアモデルを開発することである。本年度は昨年度に引き続き、精神科訪問看護ステーション、デイケア、外来で勤務する看護師を対象に、統合失調症をもつ人に対して行ったセルフマネジメントを維持・促進するためのケアについてインタビューを実施した。さらに地域生活への移行を支援している病棟看護師に対してもインタビューを行った。15事例のインタビューの内容から、セルフマネジメントの維持・促進に関わるケアを抽出し、意味の類似性や相違性を検討しながら質的に分析を行った。その結果、精神機能が脆弱な状態では病気から引き起こされる怯えを取り除き、行動の拡がりを抑えて守るケアが主として実施されていることが明らかとなった。そして精神機能が安定していくのに伴い、症状にとらわれないで生活できるよう対処方法を話し合い、一つひとつ事実を確認しながら、うまくやれていることや頑張っていることをフィードバックし、その人の力に合わせて一歩先に進めるケアが実施され、さらに、先の生活を思い描かせ、やる気を強化し、意思を確認し判断や決定を任せるケアなどが行われていた。また対人関係に関しても、精神機能の安定に伴い、困った時には頼っていいことを伝え、固定した人間関係を拡げて、人とつながることを知ってもらうケアから、人との関係の持ち方を振り返ったり、自分から相談や頼みごとができるようにするケアへと変化していた。以上の結果を踏まえて、現在ケアモデルの構造やケア内容の洗練化を進めている。
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