研究課題/領域番号 |
22592611
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研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
長谷川 真澄 天使大学, 看護栄養学部, 准教授 (80315522)
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キーワード | 高齢者 / せん妄 / 急性期看護 / ケアシステム |
研究概要 |
本研究の目的は、急性期医療における高齢者のせん妄予防ケアの質を向上させるために、現状の病院内の組織・人材の中でせん妄のリスクアセスメントや予防ケアを推進していくシステムを構築することである。研究期間の2年目にあたる今年度は、前年度に開発した集合教育プログラムにもとづき、本研究の協力病院6施設において基礎編7回、実践編2回の看護師を対象とする研修を実施した。また、せん妄ケアリーダーによる病棟のせん妄ケア向上活動は5施設13病棟が開始し、研究者が各病棟のせん妄ケアリーダーの活動計画の立案、実施を個別に支援している。各病棟の活動内容は、病棟の特性に応じてせん妄ケアリーダーを中心に計画しているが、概ね次年度までの計画は1)病棟の入院患者の特徴、せん妄発症状況の分析、2)せん妄ケアフローチャートの開発m、3)ニーチャム混乱錯乱スケール(J.NCS)の使用についてスタッフへの周知と指導、4)実際の入院患者へのJ-NCS評価とせん妄ケアフローチャートの使用開始、5)活動開始半年~1年後の評価、となっている。 せん妄ケアリーダーはツールやケアフローチャートなど新たな記録類の導入にスタッフの抵抗を感じつつも患者へのケアの質の改善をめざして、導入時の対象患者を限定する、日勤帯でのカンファレンス時間を利用しツール評価の練習機会を設けるなどしてスムーズな導入につなげていた。また、ツール評価により、認知症とせん妄の違いがわかるようになり、スタッフがせん妄リスクのある患者に見当識を促す声かけや環境瀬美を行う姿がみられるなどの効果を認め始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に参加している6施設のうち4施設においては、せん妄ケアリーダーが具体的な活動計画を立案し、病棟での取り組みが既に開始されている。他の1施設のせん妄ケアリーダーは現在、活動計画を立案中である。残りの1施設は、集合教育プログラム実施後に病棟からせん妄ケアリーダーが選出されず、病棟での取り組みに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
せん妄ケアの質向上のための活動は、せん妄ケアリーダーのみならず、スタッフや管理者の協力が不可欠である。せん妄ケアリーダーが立案した活動が計画どおり進まない病棟の背景として、ツールを導入することに対するスタッフの負担感や抵抗が大きい。病棟の特性に応じて、活動計画を柔軟に修正していくことが重要と考え、スタッフの反応をみながら、せん妄ケアリーダーを支援していく。また、施設を超えてせん妄リーダーが交流し、自身の活動を客観評価できる機会も設けていくことが、せん妄ケアリーダーの動機づけにつながると考える。
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