社会活動参加と後期高齢者の日常生活機能の維持や身体障害の発生の低下に関する長期追跡調査は少なく、本研究ではその検証を行うことができた。 2005年に開始し、現在も進行中であるK市の後期高齢者を対象とした前向きコホートデータを用いて、ベースライン時に日常生活で介助が必要ではない自立後期高齢者1838人のデータについて分析した。社会参加状況は、老人の会などいずれかに所属し、活動に参加していれば社会参加高群とし、どれも参加していない場合は社会参加低群とした。Cox比例ハザードモデルを用いて、社会参加状況がその後に要介護になるリスクに与える影響を調べた結果、6年間の追跡で、約40% (736人)が要介護になっていた。要介護になるまでにかかる時間は、社会参加高群(中央値48.4ヵ月)で低群(19.9ヵ月)より有意に長かった。交絡可能な要因を調整しても、要介護になるリスクは社会参加高群で低群より31%低かった(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.60-0.83)。 また、教室参加率は、女性(Odds 1.85;95% CI 1.23-2.79)、主観的健康度高い(1.83;1.01-3.33)、健康に関心がある(15.4;2.06-114.7)で有意に高かった。 地域活動への参加率は、うつ傾向がない(1.9;1.18-3.05)、若者に話しかける(1.74;1.04-2.92)、近所と時々話す(3.26;1.31-8.11)、近所訪問しあう(6.04;1.99-18.29)、交通が便利(2.2;1.36-3.58)の高齢者が有意に高かった。地域介入として、各地区公民館を利用し「介護予防で体も心も地域もいきいき死ぬまで寝たきりにならない!」と題して、集会を開いた。同時に、お達者健診を開始し、アンケート調査を実施している。地域介入は、2006年から実施しており、現在も展開中である。
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