本研究は、アディクションアプローチの枠組みから看護ケア内容の特徴を把握し、アセスメント項目を精選し看護ケアプログラムを開発することを目的に実施してきた。平成24年度は、平成23年度の結果を踏まえて、高齢者虐待における共依存関係にある主介護者および被介護高齢者への看護ケアプログラムの有用性の検証を実施した。アセスメント項目として教育プログラムや関係獲得期として「サービス担当者会議に参加する」、「クレームなどが以前あったか」をアセスメントする。看護介入は「クレームなどがあった場合は、ケアマネジャーや他の看護師と協働する」し、「関係性確立に向けて傾聴に徹する」、「指示的にしない」ということが介入として重要であった。行動修正期や関係洞察期では、アセスメント項目として「不適切な介護の実施」、「介護を完璧に行おうとしているか」「強迫的な自滅的行動を起こしていないか」「被介護高齢者のための介護方法だと正当化する言動を発しているか」「専門機関との連携はあるか」「主介護者の介護に従順か」があげられ、看護介入は「短期目標設定」「被介護高齢者に対し危険性の少ない介護であれば容認する」「べき・正しいか間違っているかという枠組みから主介護者が楽な被介護高齢者との関係へと転換することができるよう見守る」「サービス担当者会議の参加により、主治医から被介護高齢者の身体状態の変化について説明をうける」「主介護者の心理状態を受け入れ、傾聴する」「第三者が誰か把握しておく」 上記のように看護ケアプログラムの有用性については、「被介護高齢者が嫌な介護については、訪問看護師が代弁者となる」と項目としてあげたが、親子関係の複雑さから他者の言動には敏感であり、代弁者となることがハイリスクとなると思われた。また共依存状態にある複雑な家族の関係性を客観的に見ながら、状況の変化に応じた支援と専門職との関係性確立が必要である。
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