研究課題/領域番号 |
22592624
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
武井 麻子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (70216836)
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研究分担者 |
小宮 敬子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (70288067)
鷹野 朋実 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (00409799)
堀井 湖浪 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (40520763)
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キーワード | 精神看護学実習 / 指導ニーズ / 問題解決志向 / 対人関係志向 / 否定的感情 / 学生グループ / 援助的関係 / 実習指導 |
研究概要 |
平成23年度は、(1)学生からの実習評価と、(2)実習指導者および大学教員へのインタビュー調査の2つの調査を実施した。(1)は、感情知性と対人関係能力獲得のためにどのような指導やサポートが必要あるいは有効であったかを明らかにする目的で、学生の実習体験についての調査票を作成し、精神看護学実習終了時に配布、回収した。その結果「教員は、学生の話をよく聞き、一緒に考えてくれた」などの項目で満足度が高かったものの、回収率が50%未満であったため、平成24年度も継続して調査を行うこととした。(2)は、現場で学生の直接指導に当たる実習指導者8名および大学教員10名にとりわけ困難な指導事例を語ってもらい、そのプロセスを分析するなかで、学生を指導するうえでの困難さを生み出す諸要因および指導方法の実際について明らかにした。その結果、学生側の要因として、《患者に心理的に接近できない》、《患者への関心よりも、患者に受け入れてもらえるかどうかに対する関心が高い》、《患者に対する陰性感情を認識したり言語化することが苦手》という傾向が認められた。さらに、《教員や指導者に助けを求められない》ために患者との関係性が深まらなかった。こうした学生に対する教員の関わり方には、《あるべき関わり方を学生に教授する》、《直接患者と話し合い、関係調整をする》、《学生のポジティブな面を汲み取ろうとする》という3つのタイプがあった。また、《学習効果と臨床側の治療方針の間にジレンマを抱える》教員の姿も浮かび上がった。一方、指導者は《学生の関わりが患者におよぼす影響についてアセスメントする》なかで、《患者に対する学生の反応(感情)が理解できない》、《効果的な指導法が見いだせない》、《指導の手応えが感じられない》ことに悩み、《学生に対して陰性感情を抱く》ことを恐れていた。また、指導者は《学生に対する指導責任の曖昧さ》を抱えていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実習指導にあたる教員、指導者へのインタビューの実施が年度末までかかってしまったために、データ分析作業が今年度中にはすべてを終了することができなかった。また学生を対象とした実習評価に関するアンケート調査の回収率が50%未満と予想を下回ったため、来年度も引き続き実施するため。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、精神看護学実習における学生の感情知性と対人関係能力を育成するための、「実習プロトコルの作成」を目標としていたが、今後の研究の推進方策として、「指導モデルの枠組みの作成」へと計画を変更した。その理由としては、22~23年度に実施したインタビューの分析から、個々の学生が抱える対人関係上の問題が深刻だったこと、実習場所である精神科病棟の医療状況の変化が激しく、それが学生の実習及び教員の指導体制に及ぼす影響が大きいことが明らかになったためである。そこで、プロトコルの作成に至るには、学生の状況と実習指導の現状の分析をより精緻に行うことで、実習指導の現状に即したモデルの枠組みを示すことができると考えた。
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