【研究の目的】本研究の最終年度は、1.メンタルヘルス不全により休職した看護師のための職場復帰支援ツールの有用性の検証、2.メンタルヘルス不全により休職した病院の看護師向けの復職支援ツール(パンフレットなど)の開発、を目的とした。 【方法】某県内の看護協会や病院関係団体及び研究代表者が講師を務めた研修会・講演会にて調査協力を依頼し、承諾の得られた7施設を対象とした。メンタルヘルス不全により休職した看護師が存在する各職場の看護管理者が、調査承諾後から平成25年2月末までの間、休職者に面談し各チェックシートによる評価を行った。さらに、休職した看護師の復職支援の経験のある看護管理者、リエゾンナース、心理職の計3名に復職支援の実態について聞き取り調査を行った。これまでの知見を踏まえ復職支援ツールとしてパンフレットを作成した。 【結果】7施設中、3施設3名についての評価シートの返却があった。4施設は当該看護師の退職を理由に調査が不可能となった。うち2施設から返却されたシートは欠損値があった。調査協力施設数及び対象者数が極めて少ない理由を明らかにすると同時に、復職支援ツールを作成するため、聞き取りを実施した。結果、看護師は1.医療専門職であることから業務が限定され、安全面での課題からも、病院内での復職時の業務や職場の調整が困難、2.労働市場での需要が高いため退職後も容易に就職が可能、3.体調面や安全面で課題がある場合も当該看護師が表明しない限り新しい就職先は実態が把握できない、4.コストやマンパワーの問題から病院レベルの復職支援プログラムの展開の困難さ、が挙げられた。3カ年の調査の知見を踏まえ復職支援ツールとして、事例による状況設定問題と解説、関連法規などを含めた看護管理者向けガイドブックを成果物として作成した。
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