医学中央雑誌Web ver.4において、『難病』と『災害』をキーワーズとし、1987年から2010年を検索対象年として検索した結果、96件抽出され、災害看護に関する原著文献は73件であった。その多くは、災害時の支援体制に関する研究であり避難支援プラン(個別計画)の対象者として難病患者も含まれるようになり、在宅人工呼吸器装着患者における災害時の支援について研究されている。『パーキンソン病』と『災害』を同様に検索した結果41件抽出されたが、災害看護に関する原著文献は2件でいずれも静岡県に関する文献で、林と今福であった。英文論文からは見つけることができず、パーキンソン病友の会会報によれば、2004年の新潟中越地震では、パーキンソン病として特定疾患認定を受けている人は長岡管内約150名でタンスが倒れて怪我をしたり、車中で寝泊りが続いたり、特に避難所では食事時間が不規則になり、薬の時間調整に苦労したり、慣れない場所で身体の動きが悪くなり転倒した人がいた。研究者は長岡保健所保健師に聞き取り調査を行った。保健師からは、パーキンソン病療養者は避難所ではなく、庭の小屋などで生活していたと説明があったが、なぜ避難所を利用できなかったのか、詳細な生活障がいがどのようなものであったのかについての調査や支援策の検討はなかったことがわかった。文献調査の結果、パーキンソン病療養者は日常生活に支障があり、災害の準備も課題があり、避難に対して不安を有している者が多いが、阪神淡路大震災・新潟中越地震における、被災直後のパーキンソン病療養者の生活の支援に関して文献を見つけることはできなかった。そのため、パーキンソン療養者に注目し、パーキンソン病療養者の避難所における生活障がいを調査し、それらに対する支援を研究することとする。
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