目的:災害弱者として健康問題を持つ人々の災害支援の研究するために、パーキンソン療養者に注目し災害時の避難生活について、生じうると考えられる生活障がいについて調査し、支援策を検討した。 結果:インタビューを質的記述的研究に分析した。パーキンソン病療養者の現在の自宅における生活障がいについては、【歩行障害・異常行動】【コミュニケーション障がい】【自律神経障がい】【精神の障がい】【睡眠の障がい】。想定する一般避難所生活における、パーキンソン病療養者が予測する生活障がいについては、【避難所における薬効低下による日常生活の障がい】【避難所内での転倒】【狭く密集している避難所環境による生活障がい】【他者への気遣いからの避難所におけるストレス】【避難所での弱者としての生活】。保健師が提案する支援については、【病気を医師や保健師に伝え、継続した支援体制】【パーキンソン病の理解と支援を周囲に伝える】【災害に対する自助の重要性の説明】【体調悪化防止のため生活環境の整備】【日頃からの専門職や患者同士のネットワーク】【マニュアル等に避難所支援の内容を載せる】に集約した。研究を進めていく中で、静岡県パーキンソン病友の会(患者会)の会員が中心となり、静岡で全国大会を行う時にSOSカードをお土産として作成し、参加者へ配布することになった。このカードは平常時からも使えるカードで、支援を求めやすくなっている。 考察:患者自身も病気を伝えたいが周囲の人に気遣うことや、難病であることを知られたくないなど、様々な社会的問題を抱えながら葛藤していることが明らかになった。しかし薬効低下により動けなくなることの不安は大きいため、SOSカードを静岡県で作られ全国に広がっている「介護マーク」同様、周知させていくことが今後の課題である。また、難病患者の平常時や災害時支援の必要性を周知させるためのミニブックを作成した。
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