研究課題
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の前初期抗原(IE)62に対するモノクローナル抗体が、脳由来神経栄養因子(BDNF)と免疫交差し、BDNF活性を増強し、脊髄後根細胞のdendriteの形成促進し、動物モデルで痛覚過敏を起こすことを見出した(J virol,84:1616-1624,2010)。本研究では、BDNFは、神経ネットワーク形成や痛覚に関係するので、感染に伴う痛覚過敏に対するその機構の解析を目的としている。そこで、このモデル系として、単純ヘルペスウイルス(HSV)のマウス皮膚感染モデルで、感染皮膚とその近傍の免疫組織化学的観察を行った。その結果、HSVのマウス皮膚感染モデルで、感染皮膚とその近傍では、抹消神経終末数(痛点数?)の増加を認めたが、瘢痕部では減少を認めた。神経終末数の増加には、神経傷害に伴い賛成される神経成長因子(NGF)が関係するとされるので、HSVマウス皮膚感染モデルで、経時的に、HSV抗原の分布、NGFの誘導時期と分布範囲、神経終末数の増加部位と時間経過について観察している。HSVの抗原発現は、皮下にも認めているが、NGFは、ケラチノサイト等に発現を認め、神経終末数の増加と関連する時期に認めた。さらに、神経損傷を抑制するとされるビタミンB12誘導体メコバラミンをHSV皮膚感染モデル動物に投与すると、神経終末数の増加を抑制することを観察した。このような予備的結果もでているので、感染動物の皮膚の組織化学的検討を通して、神経終末数の増加の機構を明らかにする予定である。
2: おおむね順調に進展している
HSVの皮膚病変の進展に伴い、神経終末数の増加という新たな知見を得ており、予定した以上の結果を得ているから。
成果の項に記載したように、HSVの皮膚感染に伴う神経終末数の増加に関して、感染動物の皮膚の組織化学的検討を通して、神経終末数の増加の機構を明らかにする予定である。
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