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2011 年度 実績報告書

機能性胃腸症における胃の痛覚過敏に関わるメディエイターの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22600004
研究機関金沢大学

研究代表者

尾崎 紀之  金沢大学, 医学系, 教授 (40244371)

キーワード機能性胃腸症 / ストレス / CRF / 内臓痛 / 胃
研究概要

【目的】機能性胃腸症のメカニズムを解析するために、我々が報告してきた反復水回避ストレスによる胃の痛覚過敏モデルで、胃の痛覚や体性痛、胃の機能的変化を調べ、機能性胃腸症モデルとしての有用性を検証し、胃の痛覚過敏に関与する因子を明らかにする。
【方法】反復水回避ストレスを加えた動物で、胃の痛覚、足底皮膚の痛覚、体重、摂餌量、胃内容排出を調べた。また反復水回避ストレスを加え胃の痛覚の亢進した動物において、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の受容体、CRF1,CRF2受容体の拮抗薬や、神経成長因子の中和抗体を投与し、亢進した胃の痛覚への効果を調べた。さらに、胃粘膜でのCRFの発現、知覚神経でのイオンチャネルの発現、神経成長因子の受容体の変化を調べた。
【結果】反復水回避ストレスでは、胃に病変は見られないものの、胃の痛覚の亢進が見られた。体重、摂餌量、胃内容の排出に変化は見られなかった。胃の痛覚に加え、足底の痛覚の亢進が見られた。本モデルでの胃の痛覚の亢進には、CRF受容体、特にCRF2受容体が関与し、結腸とは異なるメカニズムが関わっていることが明らかとなった。また、本モデルでの胃の痛覚の亢進には、神経成長因子も関与していた。一方、水回避ストレスで知覚神経におけるイオンチャネルの変化は見られなかった。
【結論】水回避ストレスは胃の痛覚の亢進を引き起こし、それにはCRF2受容体およびNGFが関与していた。本研究より、過敏性腸症候群とは異なる機能性胃腸症特異的なメカニズムが示唆され、機能性胃腸症の新たな治療法の開発に重要と思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ストレスによる胃の痛覚に関わるCRFの受容体の解析がすすみ、胃の痛覚の亢進には、これまで報告されてきた結腸での所見とは異なり、CRF1ではなく、CRF2受容体の関与を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

ストレスで胃の痛覚が亢進するメカニズムとして、胃の知覚神経の感作が関与していると考えられる。今年度の研究で、知覚神経全体では、その感受性に直接関与しているイオンチャネルなどの発現に変化は見られなかったので、今後は、胃の知覚神経特異的にその感受性に関わる分子に変化が無いか調べるため、胃の知覚神経を選択的に標識して、各種、イオンチャネルの発現の変化や機能の変化を調べる。そして、機能性胃腸症の症状発現のメカニズムを明らかにし、新たは治療法の開発につなげる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ストレスによる機能性胃腸症モデル動物の開発2012

    • 著者名/発表者名
      小酒井友、尾崎紀之
    • 雑誌名

      自律神経

      巻: (In press)

  • [雑誌論文] 消化管の痛みの解明をめざして2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 雑誌名

      金沢大学十全医学会雑誌

      巻: 120 ページ: 72-73

  • [雑誌論文] 腹部症状発生のメカニズムの基礎2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 雑誌名

      G.I.Research

      巻: 19 ページ: 523-529

  • [雑誌論文] 消化管神経系の構造と機能消化管侵害知覚の伝達経路と伝達メカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 238 ページ: 891-896

  • [雑誌論文] 機能性消化管疾患の概論腹部症状発生のメカニズムの基礎2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 雑誌名

      Modern Physician

      巻: 31 ページ: 276-278

  • [学会発表] 機能性胃腸症モデル動物の開発におけるCRFの関与2012

    • 著者名/発表者名
      小酒井友, 林功栄, 白石昌武, 堀紀代美, 中村恒夫, 易勤, 山口豪, 尾崎紀之
    • 学会等名
      第117回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      山梨大学(山梨県)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] 胃の痛みに関わる内臓知覚神経とその感作機構2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 学会等名
      第2回脳・肝インターフェースメディシン研究センターシンポジウム、「食」による生活習慣病予防医学の展開
    • 発表場所
      KKRホテル(石川県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-02
  • [学会発表] 動物モデルを用いた疼痛メカニズムの解明2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 学会等名
      平成23年度日本薬学会北陸支部第123回例会特別講演
    • 発表場所
      金沢大学(石川県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-27
  • [学会発表] ストレスによる機能性胃腸症モデル動物の開発2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 学会等名
      第64回日本自律神経学会総会、シンポジウム、(11)慢性ストレスとホメオスタシスの破綻
    • 発表場所
      秋田ビューホテル(秋田県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-27
  • [図書] 脳と内臓のつながりおなかは鈍感?敏感?、健康BOOKシリーズ丈夫がいいねお腹いい調子2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎紀之
    • 総ページ数
      82
    • 出版者
      北國新聞社

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公開日: 2013-06-26  

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