研究課題
鎮痛剤は、最期の時まで欠かすことの出来ない薬である。今なお、モルヒネ類にかわる「夢の鎮痛薬」は実現していない。そこで本研究では、鎮痛作用を発揮するオピオイド受容体ではなく、逆の疼痛受容体、すなわち痛みシグナルを増強するノシセプチンおよびその受容体を阻害するアンタゴニストの設計という、既存と全く異なる新規メカニズムに基づく鎮痛薬の創製を目指す。3年計画の最終年度である本年度は、丸ごと総アラニンスキャン変異体の発現プラスミド作製を当初計画通りにほぼ終了した。さらに、第2年度に引き続き、初年度に合成したCys(Npys)含有アンタゴニストを用いてノシセプチン受容体のアフィニティラベルを行った。この手法では、結合部位近傍に存在するアミノ酸(Cys)と、リガンドのSNpys基がチオール-ジスルフィド交換反応により、共有結合を形成する。ノシセプチン受容体には、7個のCysがある。本年度は、丸ごと総アラニンスキャンで作成した点変異受容体を用いてアフィニティラベル実験をしたところ、共有結合を形成している可能性のある3個のCysが明らかになった。これらの成果は、論文発表(Peptide Science 2012, 207-208 (2013))として、既に、成果を広く世間に公表した。さらに、本年度(2012年8月)には、米国のスクリプス研究所の研究グループにより、実現が難しいと思われていたノシセプチン受容体X線結晶構造解析が報告された。そこで、上記の3個のCysを立体構造上で分子モデル上にマッピングしたところ、近傍の芳香族アミノ酸Tyrがリガンドペプチドと強く相互作用すると考えられた。このように、本年度は、変異体作製、アフィニティラベリング、分子モデリングのそれぞれの手法で統合的にアンタゴニストの分子メカニズム解析に成就した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Peptide Science 2012
ページ: 115-118
Environ. Pollut.
巻: 173 ページ: 257-263
10.1016/j.envpol.2012.10.015
巻: - ページ: 25-26
巻: - ページ: 207-208
巻: - ページ: 229-230
巻: - ページ: 401-402
http://lsfb.scc.kyushu-u.ac.jp/index.html