研究課題/領域番号 |
22601001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 亨 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80292308)
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キーワード | ミュージアム / 博物館 / 公立文化施設 / 評価 / 評価パッケージ |
研究概要 |
本研究の目的は、評価が導入されていない公立ミュージアム向けに、自前で運用できる持続可能な「評価パッケージ」を提案することである。 1.この目的を達成するために今年度は、昨年度(平成22年度)ヒアリングまたは資料収集ができなかった公立ミュージアム(4館)、および昨年度ヒアリングしたミュージアム(2館)への補足ヒアリングを行った。さらに、ミュージアム以外の公立文化施設のうち、評価導入が進み、成果が出ているといわれている公立図書館(2館)においても、ヒアリングを新たに実施した。 ヒアリング項目は、a)自己点検・第三者評価の概要、いままでの経緯、b)評価運用のための予算・体制・作業量、c)行政が実施する各種評価との関係、d)評価導入によるメリット、評価導入後の問題点や課題、e)評価を継続するためにクリアしなければならない事項などである。 2.平成24~25年度の2年間において、「評価パッケージ」の導入を実際の公立ミュージアムにおいて試行する。その際に重要となる、「評価パッケージ」に必要な仕組みや要素などについて、協力いただく予定のミュージアムスタッフ(評価活動経験者)と議論した。 その結果、(1)評価枠組みや評価指標などの評価ツールを定期的にリニューアルする仕組み、(2)評価活動を特定個人ではなく、ミュージアムの業務として維持する仕組み、(3)第三者評価委員を育成する機会などが必要であることがわかった。自前で運用できる持続可能な「評価パッケージ」を試行する際、これらの仕組みや要素を盛り込む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価が導入されているもしくは導入を検討している主な公立ミュージアムでの調査を、今年度で完了することができた。また、ミュージアム以外の公立文化施設でも今年度新たに調査ができ、評価活動に係る実態を把握することができた。さらに、平成24~25年度における「評価パッケージ」導入に向けた検討の準備がおおむねできたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24~25年度において「評価パッケージ」導入の検討と試行を行うにあたり、いままで調査した公立ミュージアムやミュージアム以外の公立文化施設のスタッフ(評価活動経験者)の中から、本研究に協力いただける方々をメンバーとした組織をまず作ることになる。この組織化が、本研究の後半における最も重要な事項になるため、早い段階で組織化に着手する予定である。 また、公立ミュージブムを含む公立文化施設における評価活動経験者だけでは、「評価パッケージ」導入の検討と試行を行う際に不十分であると考え、ODA分野における評価活動経験者の協力を仰ぐ予定である。
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