平成23 年度に引き続き資料の実測、デジタルトレース等の基礎資料整理作業を実施した。約900 点の全ての図化、デジタルトレース作業を修了することができた。付属する文書類の翻刻については、研究協力者の三浦泰之氏(北海道開拓記念館学芸員)の協力を得て、全ての文書、箱書きの翻刻作業を終了した。 関連文献収集については引き続き、特に静嘉堂文庫との関わりの中で、柏木貨一郎関係の収集に力点を置き、これまでの博物館史に漏れている幾つかの貴重な文献、関連情報を得ることができた。特に9月に実施した関西大学博物館では、柏木貨一郎の手によると考えられる『石器写図』の熟覧をはじめ、本資料と関連のある古物に関するデータの収集が適った。また、埼玉県埼玉県立文書館所蔵の『小室家文書』の調査をはじめ国会図書館等で多数の関連情報を得ることが出来た。学会発表として5月8日(土)平成24年度全日本博物館学会第38回研究大会において「近代初期における人文資料形成史の研究―松浦武四郎と柏木貨一郎―」の発表を行った。また、研究成果の一部として『國學院大學研究開発推進機構紀要』第5号に「明治前期における好古家の実相-松浦武四郎と柏木貨一郎の土偶人の周旋をめぐって-」を発表した。 下半期は成果報告書の編集作業に集中した。関連資料に関して各研究者の支援を得て、総数248頁の研究成果報告書である『静嘉堂文庫蔵松浦武四郎蒐集古物目録』を刊行した。また、本研究成果を元に静嘉堂文庫美術館では、平成25年10月5日(土)~12月8日(日)まで特別展「幕末の北方探検家 松浦武四郎展」を開催する運びとなった。
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