本研究は、携帯情報端末を使用し、「都市全体が美術館」、「インターネットデジタル美術館」、「現実の美術館」、「現実の博物館」、これら4つのミュージアムを融合・連携させ、新たなミュージアムを目指して、鑑賞支援システムを開発、デザインする。開発する鑑賞支援システムを利用することにより、生活の中に存在する日常的な鑑賞行為から、驚きや発見、達成感へと繋がる、より能動的で参加性の高い鑑賞体験へと導くことを目的としている。 本研究の目的を踏まえ、当該年度の研究成果と研究実施計画は、以下の3件にまとめられる。 1) 広島市内の都市空間で携帯電話を主な情報端末として使用した鑑賞支援システムの実証実験(2009年12月26日、2010年1月23日、2010年2月28日の3日間)の評価を分析し、日本展示学会(2010年6月19日)と日本デザイン学会(2010年7月3日)で口頭発表をおこなった。また、国際会議Museums and the Web2011へ投稿をおこなった。情報端末を使用した本鑑賞支援システムは、都市空間での鑑賞を繋ぎ、日常的な鑑賞行為へと導くために意義がある。 2) 広島県立歴史博物館において、音声ガイドとテキストガイドの効果を比較する来館者調査を実施した(2010年10月16日、17日、23日、24日、30日、31日の6日間)。本調査実験は、より効果的な鑑賞支援システムの開発に向けて意義がある。 3) 北九州市立自然史・歴史博物館では、携帯情報端末を使用した鑑賞支援システムの実験に向けて、打ち合せをおこない計画を進めた。仮想空間、美術館、博物館の連携は、より能動的で参加性の高い鑑賞体験へと導くために、重要である。
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