研究概要 |
大阪湾環境再生連絡会が主催する「第3回大阪湾生き物一斉調査」(平成22年5月29・30日実施)に大阪湾海岸生物研究会と共に参画し、市民団体による調査を博物館の立場でサポートした。 この調査には淡路島を含む湾内17地域において792名が参加したが、このうち10地域から講師派遣の依頼があり、大阪湾海岸生物研究会から合計20名の講師を派遣し、調査の精度を高めるとともに海の生き物の魅力を一般参加者に伝えた。一斉調査の実施に先立って、調査のリーダーを対象に和歌山市加太海岸などで合計3回の生物観察に関する研修を実施し、大阪市立自然史博物館の学芸員3名が指導に当たった。 調査の結果、合計474種の生物が記録された。その中には48種の貴重種(レッドリスト掲載種など)が含まれていた。今回は特に二枚貝のマガキとケガキの分布に注目し、湾内の水質との関係を論じた。調査の際に各地で採集された多様な動物を大阪市立自然史博物館が集約し、合計162種241ロットを標本化した。 一斉調査の成果は、9月23日に大阪市立自然史博物館において結果発表会を開催することによって、参加者の間での共有を図った(出席者約70名)。 一方、過去(1980年代以降)の大阪湾における潮間帯生物の記録(大阪湾海岸生物研究会による定点調査データ)13,974件をデータベース化した。そして大阪湾海岸生物研究会のウェブサイトを新たに構築し、これらのデータを研究者・市民が活用できるようにした。
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