研究概要 |
カフェイン(1,3,7-トリメチルキサンチン)は、細胞内のサイトゾルで合成され、液胞に蓄積される。この研究はカフェインが合成されてから蓄積されるまでの分子機構を明らかにすることを目的とする。まず、カフェインを蓄積しない近縁の植物には、合成、輸送、蓄積のすべてのメカニズムが欠除しているのか、それともその一部だけが作動していないのかも明らかになっていない、そのため、カフェインを蓄積しないツバキ科植物に存在する、カフェイン合成酵素のオーソロガス遺伝子の単離を試みた。その結果、調べた限りのツバキ科植物で、オーソロガス遺伝子の転写産物の存在が認められた。しかし、カフェイン合成酵素との相同性は40~80%であった。これらの遺伝子の全長の単離を進めている。さらに、全長の単離に成功した遺伝子から、基質特異性を特定するための組換え型酵素を作製を進めている。 さらに、カフェインが合成された後の液胞への細胞内輸送とその蓄積を明らかにするために、チャ葉およびチャの白色培養細胞から液胞の単離方法の確立をめざし、検討を重ねた。液胞を単離するために必要な細胞のプロトプラスト化の条件を検討した。一般的なプロトプラスト化の条件では、両材料ともにプロトプラスト化の効率が低く、収率の向上をめざしたさらなる条件検討が必要であることがわかった。そのため、並行して、新たに実験モデルとなりうる材料を模索し、新たにカフェイン合成能の高い培養細胞の作出に取り組んでいる。
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