研究課題/領域番号 |
22603004
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
加藤 美砂子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60272738)
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キーワード | カフェイン / テオブロミン / チャ / ツバキ科植物 / プリンアルカロイド |
研究概要 |
植物内で合成されたカフェインの輸送と蓄積を調べるために、チャ(Camellia sinenesis)葉の伸長時にカフェイン合成酵素の転写産物と同じ発現パターンを示すトランスポーターの候補遺伝子を検出した。この遺伝子はMRP型ABCトランスポーター遺伝子と推定され、チャ葉の若い時期に最も高く発現し、葉が展開していく過程で発現量が減少した。現在、この遺伝子の解析を進めると共に、チャの培養細胞やカルスでの発現状況を追跡している。 一方で、カフェインを蓄積しないツバキ属以外のツバキ科植物に存在するカフェイン合成酵素のオーソロガス遺伝子の単離と解析を行った。研究材料としたカフェインを蓄積しない10種のツバキ科植物にも、オーソロガス遺伝子およびその転写産物は存在していたが、葉の伸長時における転写産物の発現パターンはチャのカフェイン合成酵素とは明らかに異なっていた。これらの遺伝子がコードするタンパク質は、構造内に4つの保存領域をもつサイトゾルに存在するメチルトランスフェラーゼであるが、その多くは真の基質の同定までは至らなかった。しかし、テオブロミン合成に関与すると推定されるメチルトランスフェラーゼ遺伝子も得られ、この組換え型酵素の性質は、以前に報告したツバキ属植物の性質と類似していた。これらのカフェインを蓄積しないツバキ科植物において、チャ葉で検出されてたカフェイン輸送に関与する可能性のあるMRP型ABCトランスポーター遺伝子候補の存在について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カフェイン輸送に関与するトランスポーターの候補遺伝子を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに、チャの生葉からの液胞の単離方法が確立できなかったことから、カフェイン合成能の高いチャの緑色カルスを新たに誘導した。今年度は、生葉と並行してカルスを用いて、液胞に関する研究を進めて行く予定である。
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