研究課題
生体膜類似構造を有する生理活性物質の探索を目的として、海洋生物であるウミケムシの炎症惹起物質について微量成分の探索を引き続いておこなった。この結果、ネオコンプラニンA及びBと命名した物質を単離し、その構造を飽和アルキルヒドロキシアミンのアミド誘遵体であると決定した。このうちネオコンプラニンBは分枝した飽和炭素鎖を分子内に有しているが、この化合物のPKC活性化能はコンプラニンよりも高かった。PKCの活性化はC2ドメインのホスファチジルセリン結合部に生体膜類似構造が結合することによって起こると考えられるが、コンプラニンBの高い活性はミセル形成能を反映していると考えられる。また、類似化合物の単離によって既存の化合物との比較により、コンプラニン類の生合成経路を推定することができた。この結果はコンプラニンで決定された絶対立体化学とよく対応している。さらに植物成分からメラニン生成阻害物質の探索をおこなった結果、食品用ハーブであるタラゴンから二種の三重結合と共役不飽和系を有する2種のカルボン酸アミドを得ることに成功した。これら化合物は既知であったが、新規な生理活性を見出すことができた。またこれらは不飽和結合とアミドの存在などコンプラニン類と構造的に強い類似性を有しており、同様に溶液中で生体膜類似の会合体を形成する可能性および、生体膜との相互作用などの生物機能が考えられる。これらの化合物について統一した生理活性発現のメカニズムを検討中である。
すべて 2010
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