研究概要 |
本研究では、ホオズキ成分で様々な興味深い活性を示すphysalin類に着目し、これらの活性発現に必要な部分構造を突き止めること、またそれをプローブ化し標的タンパク質を同定することで生物活性発現機構解明に寄与すること、さらに有機合成化学的に興味深いphysalin B,Fの全合成を達成すること、の3点を目的として設定した。本年度は、α-ketoester型中間体の13位ketoneに対する1,2-付加反応を検討した。市販の原料から約20段階でphysalin類のDF環部を有するα-ketoester型中間体を合成し、まずは種々の還元反応を検討した。その結果、Luche還元を適用すると、選択性約5:1で目的とするαアルコール体を生成することを見出した。本生成物を2段階でモノクレート体へと変換し、これまでに確立したGH環形成ドミノ反応を検討した。LiOHで1.5時間処理した後、酢酸中で加熱すると、期待通りGH環部に加えてE環部も構築されたDEFGH環生成物をワンポット約30%で得ることに成功した。その後の変換により、Type B型physalin類のDEFGH環部の合成を世界で初めて完了した。さらに、鍵工程のワンポット反応の詳細な反応機構解明を目的として、種々条件検討した。その結果、モノクレートの17位置換基の違いによって、GH環の形成順序が異なることなど、興味深い知見を得ることが出来た。現在、合成したDEFGH環部、およびDFGH環部のNF-κB阻害効果について検討している。また、α-ketoester型中間体へのアルキンの付加反応も検討し、低収率ながら12-13位間のC-C結合形成に成功した。
|