研究課題/領域番号 |
22603018
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研究機関 | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
研究代表者 |
木根原 匡希 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究員 (70568451)
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研究分担者 |
平田 みつひ 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究員 (80568452)
古江 美保 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究リーダー (80257310)
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キーワード | ES細胞 / iPS細胞 / シグナル伝達 / 阻害剤 / 発生・分化 |
研究概要 |
研究の目的: 本研究課題は、ヒトES/iPS細胞の未分化性維持に関与する細胞内リン酸化シグナル伝達経路の探索を目的とする。現在一般的に使用されているヒトES/iPS細胞用培地は、数多くの不特定因子を含み、それら因子によって未分化性・分化能に関与する多くの内在性シグナル伝達経路が活性化されるため、添加する薬剤・増殖因子の正確な機能解析を行うことができない。申請者らは、ヒトES細胞の未分化性の維持が可能な最小増殖因子から成る無血清培地を用いて、多検体処理が可能であり、高感度かつ定量性に優れている手法を開発した。私たちが開発した新規評価法を用いて、BIOMOL社のキナーゼ阻害剤ケミカルライブラリーに含まれる各々化合物がヒトES/iPS細胞の未分化性分化に与える影響について検証を行い、ヒトES/ips細胞の未分化性に対して効果的ないくつかの阻害剤を同定した。 23年度実施成果: この同定した阻害剤の作用点から、ヒト多能性幹細胞の分化・未分化性を制御する可能性がある重要な細胞内リン酸化シグナル伝達経路を見出した。私たちはこのリン酸化シグナル経路を活性化させた場合、もしくは抑制した場合の多能性幹細胞の分化・未分化性との関連を検証した。その結果、このシグナル経路を活性化させた場合、顕著に細胞分化が観察され、一方で抑制した場合は、未分化性が維持された。この結果よりこのシグナル伝達経路は、多能性幹細胞の分化・未分化性の制御に重要であることが示唆された。現在、私たちはこのシグナル伝達経路を制御する上流因子、およびこの経路により制御される下流因子の探索を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画に予定した新規評価法を開発し、この方法を使用して目標としていた多能性幹細胞の未分化性に関与する新規シグナル伝達経路を同定できたため、本研究課題の達成度は、順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、同定したシグナル伝達の上流因子、ならびに下流の制御因子を同定することによって、多能性幹細胞の新たな制御機構を明らかにすることである。そのシグナル経路の上流因子を探索するためには、様々な増殖因子群を添加して、シグナル経路への影響を検討する予定である。一方、その経路の下流因子を同定するためには、網羅的な遺伝子発現解析により探索する予定である。
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