研究概要 |
銅酸化物高温超伝導体であるLa_<2-x>Sr_xCuO_4と関連物質であるニッケル酸化物La_<2-x>Sr_xNiO_4の単結晶育成を行った。La2.,Sr,CuO4については、共鳴非弾性X線散乱手法による予備的な実験を行い、電荷輸送ギャップ内にドーピング量に依存した新しい電荷励起を観測した。23年度にはこれらの詳細なドーピング依存性を調べ、超伝導への関連を調べる。 銅酸化物高温超伝導体で過剰ドープ状態にあるBi2201に少量の鉄をドープした単結晶を用いて、磁化、抵抗測定と中性子散乱実験を行った。この物質では鉄の導入により、格子非整合な静的短距離磁気相関が観測されている。測定の結果から、この磁気相関の起源は伝導電子のスピンと鉄スピンによるRKKY相互作用であることが結論づけられた。 興味深いことに、低ドープ領域でストライプ相関による格子非整合性と同様に、ホール濃度に比例した格子非整合性を持つ。このことは、超伝導試料でみられる砂時計型磁気励起に遍歴的な電子と局在的な電子の双方による寄与が混在する可能性を示唆する。今後、偏極中性子を用いた非弾性散乱実験からこの点を検証していく。
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