研究課題
共鳴X線非弾性散乱を用いた銅酸化物高温超伝導体の電荷励起の研究を行った。モット絶縁体に電荷(電子またはホール)をドープすることでフェルミ面近傍に状態密度ができ、モットギャップ内に電子の運動を記述する電荷相関関数に相当する電荷励起が観測されることが理論的に予測されてきた。しかし、電子ドープ系ではこれが観測されているのに対し、電子ドープ系ではまだ観測されていなかった。今年度、ホール濃度組成の異なる試料について実験を行い、分散を持つバンド内電荷励起が普遍的にホールドープ系に存在することを確認した。また、理論計算との比較からこのバンド内電荷励起が、電荷相関関数に相当することを明らかにし、ホールドープ系と電子ドープ系の電荷相関関数が定性的に同じであることを明らかにした。銅酸化物高温超伝導体の高エネルギー磁気励起の研究では、軟X線共鳴非弾性散乱実験から、非常に高いエネルギー領域の分散関係が、超伝導になる前の母物質反強磁性体と超伝導を示す組成であまり変化しないことがヨーロッパの研究グループにより報告されていた。今年度、パルス中性子源を用いた、過剰ドープ領域の銅酸化物高温超伝導体の高エネルギー磁気励起の測定を行い、シグナルは弱いながらも、母物質のそれに近い分散関係を示すことが示唆される結果を得た。これにより中性子とX線の双方で同様の結果であることが確認され、高エネルギー磁気励起の全貌が明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Phys. Rev. B
巻: 87 ページ: 104511
DOI:10.1103/PhysRevB.87.104511
Physical Review B
巻: 86 ページ: 134529
10.1103/PhysRevB.86.134529
巻: 85 ページ: 115109
10.1103/PhysRevB.85.115109