研究概要 |
平成23年度は,震災により実験施設JRR-3(研究炉)とJ-PARC(パルス中性子源)とがともに被災し,それぞれの実験装置・ビームラインの復旧が主な活動となってしまった.また,集光ミラーを成膜するためのスパッタ装置も同様に被災し,23年度を掛けて復旧を行った.したがって23年度は,集光ミラーの製作およびビーム実験が一切実施出来なかった. 本研究では,試料位置でのビーム切り出し及び試料付近からのバックグラウンド削減を目的としたB4C焼結体製ナイフエッジ(位置・角度調整機構付き)をもつ,ナイフエッジ機構付試料ホルダーの設計・製作を行った.ホルダーは試料サイズで30mm角用および3インチφ用の2種を製作した.また,動作試験を行い,順調に動作することを確認した. また,今回の実験施設被災とその後のいきさつで,特性試験を行う予定の研究炉JRR-3の再起動に見通しがついていない.そのため,次年度はJ-PARCでの特性試験に切り替える可能性がある. そのため,JRR-3の中性子反射率計SUIRENおよびJ-PARCの試料垂直型偏極中性子反射率計(BL17)の2つのビームラインに対して,それぞれ適応した集光ミラーの非球面形状設計を行ったが,基板製作は状況が見えてくるまで控えることとした. また,J-PARC施設での集光実験に適応した規格のイメージングプレートおよびカセッテを新たに整備した.さらに,実験ビームラインでバックグラウンド低減に使用するため,カドミウムの中性子吸収材を整備した.
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