研究課題/領域番号 |
22604010
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
酒井 卓郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70370400)
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研究分担者 |
安田 良 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (20414592)
石井 保行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 高崎量応用研究所・放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (00343905)
佐藤 隆博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 高崎量応用研究所・放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (10370404)
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キーワード | 中性子 / ラジオグラフィ / 空間分解能 / 微細加工 / プロトンビーム |
研究概要 |
本研究では、10μm以下の空間分解能を有する中性子ラジオグラフィ技術を実現するため、その要素技術である、「中性子集光素子」と「高感度かつ高分解能の蛍光板」の開発をすることが目的である。 今年度においては、1)プロトンマイクロビームを用いた微細加工技術による中性子用光学素子の開発、2)中性子集光効果の確認実験、3)高輝度蛍光コンバーターの開発を行った。 1)に関しては、電子ビームに比べ物質中での直進性の高いMeV級のプロトンビームを用いて、75μm厚のアクリルシートに線幅5μm以下の貫通孔の微細加工を行った。この微細なパターンにレーザー蒸着法によって、中性子の吸収体であるガドリニウム膜の蒸着を施し、中性子ラジオグラフィの空間分解能を評価するテストパターンの作製に成功した。2)に関しては、中性子散乱体であるポリエチエレンを円錐状にくり抜き、頂点部に10μm径のコリメーターを取り付けて、中性子集光素子を製作し、その効果確認実験をJ-PARCのパルス中性子を利用して行った。その結果、10μm程度の微小な中性子スポットを創出できることが確認でき、集光効果を実証した。この中性子ビームを点線源として利用することで拡大光学系を実現することができ、中性子顕微鏡を開発するための大きな課題の一つを解決した。3)に関しては、可視光に対して透明である酸化ガドリニウム膜で蛍光コンバーターの表面をコーティングすることで、中性子に対する発光強度を向上出来ることを確認した。 次年度においては、研究炉JRR-3の再稼働後に、上述の素子や蛍光コンバーターを組み合わせ、微細領域の中性子ラジオグラフィ撮影実験を行い、本研究を完遂する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、平成23年度中は研究炉JRR-3が稼働しなかったため、中性子を利用した実験を行うことが出来なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本課題を遂行する上で必須である中性子ビームを用いた実験の一部に関しては、京都大学原子炉実験所の研究炉KURを利用することで実施することを予定している。また、平成24年度の後半には、研究炉JRR-3の再稼働が予定されており、必要な中性子ビーム実験を実施することが可能になる見込みである。
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