研究概要 |
日本の先端産業を支える光学ガラスの製造では、光学ガラスの主成分であるレアメタルの約8割が研磨や切断により廃棄されている。本研究では、塩素化ならびに炭素還元による揮発反応を用いた乾式法により、光学ガラスの研磨分や切断片から、低エネルギーかつ簡単な工程で、レアメタルを元素ごとに分離回収し、原料として再利用できるプロセスを開発することを目的とする。 22年度の実験では、光学ガラスの主成分であるLa,Gd,Ta,Nb及び共存元素(Ti,Zr,Zn)の塩化揮発挙動に及ぼす炭素添加、加熱温度ならびに保持時間の影響について調べた。その結果、炭素添加時にTa及びNbは400℃付近から揮発し始め、1000℃までにほぼ全量が揮発することがわかった。また700℃で加熱保持を行うことで、Ta及びNbを選択的に揮発分離させることが出来た。一方、La及びGdは1000℃で保持することで揮発し、特にGdよりもLaの揮発が進行することがわかった。 これらの結果をもとに、各試料からのレアメタルの選択的分離回収のために、500℃、700℃、及び1000℃で加熱処理する3段階の塩化還元プロセスを提案し、各ステップにおいて得られた沈着物及び残渣を分析した。その結果、Ta及びNbは700℃で揮発し沈着したVolatile 2にその大部分が濃縮され一方、La及びGdはそれぞれ1000℃での揮発物であるVolatile 3及び揮発せずに残留したResidue 3に濃縮出来ることが分かった。
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