研究課題/領域番号 |
22605003
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
前川 博史 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (70283041)
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研究分担者 |
山本 祥正 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (90444190)
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キーワード | マグネシウム / トリフルオロ酢酸エチル / クロスカップリング / 電子移動 / 還元 / 極性変換 |
研究概要 |
本研究では高い還元力を有し、安価で入手容易で、生体関連元素で低毒性の金属マグネシウムを電子移動還元剤として用い、新規クロスカップリング反応の開発と機能性物質の合成を行っている。トリフルオロ酢酸エチルと各種芳香族ケトンとのクロスカップリング反応について検討を行った結果、トリフルオロ酢酸エチルとアルキルフェニルケトンとの反応では枝分かれアルキル基を有するケトンにおいて芳香環のパラ位にトリフルオロアセチル基のアセタールを選択的に導入できることを明らかにした。得られたアセタールはフッ化テトラブチルアンモニウムとの反応によりトリフルオロアセチル基に変換でき、メタ配向性化合物のパラ位に簡便にトリフルオロアセチル化を行える手法を開発することができた。この結果は既に報告したベンゾフェノンやアセトフェノンのトリフルオロアセチル化反応とは大きく異なり、対照的な結果である。さらに枝分かれ炭素原子の位置をカルボニル基のβ位とした場合でも主生成物は芳香環へのトリフルオロアセチル化物となり、立体的な嵩張りが反応に大きく影響することを明らかにした。次に既に開発したアズレンの6位への置換基導入法をトリフルオロアセチル化反応に応用することを試みたところ、トリフルオロ酢酸エチルとアズレンとの還元クロスカップリング反応が進行し、6位にトリフルオロアセチル基のアセタールを有するアズレンを、アズレンを出発原料として簡便に合成できることを見いだした。得られたアセタールのケトンへの変換にはフッ化テトラブチルアンモニウムが同様に最も効果的であり、6-トリフルオロアセチルアズレンを効率よく合成することができた。今後はアズレン誘導体を合成して反応を試み、この反応の一般性を明らかにすることが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初デザインした反応が進んでいるわけではないが、企図した還元的カップリング反応の関連反応が進行することを明らかにし、新たな反応を開発することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な反応の方向性に問題点はなく、これまでに見いだした反応を基礎として新たな組み合わせの反応開発へ展開する。特に計画当時には考えられなかった組み合わせの還元的カップリング反応にも挑戦し、本研究課題終了後に向けて次のステップへの展開を図る。
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