研究課題/領域番号 |
22605004
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 功 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40155114)
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研究分担者 |
長尾 雅則 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (10512478)
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キーワード | アルミン酸カルシウム / エレクトライド / 単結晶育成 / 電子スピン共鳴 / 銅イオン / 還元熱処理 |
研究概要 |
本研究は、In等の稀少金属を用いない透明導電体や高効率電子放出材料の開発を目指して、アルミン酸カルシウム(Ca_<12>Al_<14>O_<33>;C12A7)中にCu^<2+>を置換した銅置換C12A7(Cu:C12A7)高品質バルク単結晶を育成し、その育成結晶を用いて熱処理により高伝導率のエレクトライド結晶を合成する条件を明らかにするとともに、銅置換効果を詳細に調べることでITOに匹敵する高導電体発見の手がかりを掴むことを目的としている。 平成22年度は、1.結晶育成条件の最適化および銅置換C12A7高品質単結晶の育成、2.育成単結晶のエレクトライド化条件と導電率との相関、3.ESRによる銅イオンの電子状態の解析について検討した。FZ法による単結晶育成では、銅濃度1.0at%Cuの原料に対して育成結晶中には約0.3at%Cuしか固溶しないことがわかった。その原因は、Cuの分配係数が1より小さいこと以外に結晶育成中に溶融帯中からのCuの蒸発が大きく影響していることが明らかになった。次に、エレクトライド化については、熱処理温度1100℃において、48時間の熱処理では、無置換C12A7エレクトライドの導電率が716S/cmに対して、Cu:C12A7エレクトライドは1890S/cmの高い導電率を得ることができた。そして、72時間以上の熱処理でもCu:C12A7は分解することなくわずかに導電率が低下する程度であり、無置換C12A7よりも熱的に安定であることがわかった。また、ESR測定の結果、Cu:C12A7結晶では、O^<2->やO-のほかにCu^<2+>に起因すると考えられるg=2.100の信号が観測された。熱処理後はe-に対応する信号のみが観測されエレクトライド化されていることが確認された。このことから、Cu:C12A7結晶中にはCu^<2+>で存在し還元熱処理によりCu^+に還元されたと示唆される。
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