本年度は、市川市の市民が主体的に動き、冒険遊び場の常時開設を目指している「市川子どもの外遊びの会」と協同して実施調査を行った。この団体との協同的関わりを継続的に行い、都市公園における共有家具のあり方の基本的知見の収集を進めた。 また、市民が主体的に公園を利用するあり方として、二つの海外事例の調査を行った。一つは、地域全体を子どもが自由に遊べる場として成り立たせるための活動を行っているロンドンプレイという組織である。いわば、すでにある地域全体を公園化する試みであり、期間を限定することで実現させる工夫が、本研究の研究対象である、地域で共用する公園家具のあり方に示唆に富むものであった。もう一つは、デンマークにおける公園の地域での取り組みについてである。デンマークは公共に対する意識が極めて高い国であり、市民の主体性による公共的な場の使いこなしには多くの実例がある。本研究では、意識が高い市民による公園の活用において、道具として共用家具が生かされることを基本理念として持っているため、こうした意識を基盤に持っている場で調査することは強い意義がある。この調査では、地域の大学と連携し、特定の公園を対象に、調査をした結果を基に共用家具を製作し、利用調査を行った。これまで検討してきた、地域共用家具のあり方の実証調査として位置づけられる調査とすることができた。
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