本研究は、平衡性、敏捷性、柔軟性、衝撃緩衝性から幼児の調整力を多角的に評価し、幼児の身体活動量および保育・保護者の主観的評価との関係を明らかにすることを目的とした。同時に日常生活で調整力を適切に評価するために、リアルライフを模した実験環境で幼児の歩行動作の力学的特性を計測し、保育者・保護者が幼児のライフスタイル改善への働きかけを適切に実施するための評価方法を開発し、本研究の成果を保育現場および子育て支援として情報発信するものとする。 平成22年度は幼児を対象とした計測および実験研究を東京都および沖縄県の2地域の幼稚園児を対象に実施した。対象とした幼児は、年中および年長男女児童計120名であった。本研究では、幼児の調整力を、柔軟性(長座体前屈)、平衡性(開眼立位姿勢保持時の重心動揺)、敏捷性(単純視覚刺激に対する全身反応時間)、衝撃緩衝性(高さ30cmの台からのドロップ着地時の地面半力鉛直方向成分)の4つの側面から検討する。また、従来幼児に対して行われてきた体力評価のフィールドテストも実施するとともに、超音波Bモード法を用いて身体各部位の皮下脂肪および筋厚を定量化し、身体組成を評価した。また全対象のうち協力の同意を得られた児童60名を対象に三軸加速度計を用いて、保育環境および家庭での日常生活の活動量を計測した。また幼児のライフスタイル改善に働きかける存在として重要な保育者および保護者を対象に、幼児の調整力および活動水準に対する主観的な評価を質問紙調査により実施した。また比較対象として、東京都の小学校児童を対象に同様の調査を行ない、発育発達の影響を検討した。
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