本研究は、平衡性、敏捷性、柔軟性、衝撃緩衝性から幼児の調整力を多角的に評価し、幼児の身体活動量および保育・保護者の主観的評価との関係を明らかにすることを目的とした。同時に日常生活で調整力を適切に評価するために、リアルライフを模した実験環境で幼児の歩行動作の力学的特性を計測し、保育者・保護者が幼児のライフスタイル改善への働きかけを適切に実施するための評価方法を開発し、本研究の成果を保育現場および子育て支援として情報発信するものとする。 平成23年度は本研究の比較対象として小学生児童に対して行なった調整力評価の研究成果をヨーロッパスポーツ科学会で報告するとともに、前年度行なった幼児を対象とした計測および実験研究の結果を解析した。また日常の身体活動量および保育者、保護者から得た対象児童の身体活動量および身体能力に関する主観的評価と、調整力評価指標との関係を検討した。対象とした幼児は、年中および年長男女児童計120名で、幼児の調整力を柔軟性(長座体前屈)、平衡性(開眼立位姿勢保持時の重心動揺)、敏捷性(単純視覚刺激に対する全身反応時間)、衝撃緩衝性(高さ30cmの台からのドロップ着地時の地面半力鉛直方向成分)の4つの側面から検討した。また、従来幼児に対して行われてきた体力評価のフィールドテストも実施するとともに、超音波Bモード法を用いて身体各部位の皮下脂肪および筋厚を定量化し、身体組成を評価した。今後、データの統計的性質を検討するとともに、本研究において実測した調整力評価指標および身体活動量と保護者および保育者の主観的評価との関連性を検討し、幼児のライフスタイル改善への指針を検討する。
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