研究概要 |
近年,新生児期等の自発的で自然に起こる運動の観察が神経学的評価に有用であり,修正年齢2歳児以降の神経学的予後予測が可能とされ,早期診断法として推奨されている。しかし,この評価法は熟練者の観察によるものであり,定量的な評価の確立が必要であるため,運動解析システムを構築することを目的とした。昨年度は定量的運動評価を試みるために,ビデオカメラを用いて新生児の自発運動解析を行なった結果,低出生体重児と満期出生児とは運動の量や質が異なることを運動解析システムにより検証することが可能となった。 本年度は,次の段階として新生児運動解析システムを用いて正常・異常な自発運動の定量評価を試みた.まず,ビデオ教材(Prechtelら)から,リスクを持つ乳児や脳障害児の自発運動の特徴が正常児の違いを解析することができた.次に研究代表者が新生児自発運動の講習会に参加し,一定の研修を受けて自発運動の観察評価法を習得した.これらを基に,数名の被験児の経時的変化を検証するとともに,自発運動の特徴を観察評価と画像解析システムの整合性を検証した.その結果,詳細な部分は検証しきれない部分はあるものの,運動の特徴解析については概ね検証可能なシステムとなった.次年度は,NICUでの臨床データを解析するとともに,より詳細に正常・異常な自発運動の比較検証を行う予定としている.
|