研究課題/領域番号 |
22610015
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
平田 乃美 白鴎大学, 教育学部, 教授 (20308224)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 子ども / ストレス / 実験心理学 / 学習環境 / 唾液中αアミラーゼ / 社会的自己保存 / 評価懸念 / 精神作業課題 |
研究概要 |
平成24年度は,研究連携者と共同研究を行った実験結果の一部「The effects of learning environment design on salivary alpha-amylase and subjective stress levels during mental arithmetic task on individual, collaborative and competitive settings.」を,2012年4月開催の ICIRE2012(International conference on Interpersonal Relationships in Education)バンクーバー大会にて連名発表した。下記に発表内容を要約する。 [目的]社会的自己保存理論を基盤として,社会的自己が脅かされる文脈での生理・心理的ストレスの測定を試みる。 [方法]精神作業(コンピュータ画面に提示される四則演算の暗算課題)の遂行時,単独で対面する相手と競争するIC条件,二人一組で協調して他ペアと競争するCC条件,の実験デザインを計画して,実験参加者43名を対象に,課題遂行中の社会的文脈が心理的ストレス評価と唾液中α-アミラーゼ活性(sAA)に与える影響を検証した。 [結果]作業条件とAMY値変化の2要因分散分析が有意でなかったため,暗算課題の成績(正答率)別の分析をおこなった.正答率の高かった成績達成群・中間群では,IC・CC両条件においてsAA変化はなかった。それに対して,成績不振群では,CC条件においてのみsAAの有意な上昇が認められた。 [考察]本実験結果より,計算課題成績不振時の唾液αアミラーゼ値は単独より協同での競争場面で上昇したことが検証され,協同作業で他者に迷惑を掛けることが社会的自己を脅かすストレスとなる可能性について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主眼である「作業負荷が高まりやすい文脈とそれに対する遂行者本人の状況理解が,心理的・生理的ストレス指標におよぼす影響」について,平成22年度は唾液中αアミラーゼ活性平常値の高低と社会的スキル,平成23年度は課題成績の高低,平成24年度は協同・協調学習場面特有の作業負荷,の各要因を取り上げ計画通りに実験を進めている。その成果は,国内外で学会発表を行っており,おおむね順調に進展しているものと自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は,生理的・心理的作業負荷が高まりやすい社会的文脈として,「協同・協調学習場面」に焦点化したストレス実験の実施継続とこれまでの総括を行う。実験プログラムは,既に連携研究者(上越教育大学大学院 石川真氏)により作成・提供されており,本研究遂行上,特に問題はない。
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