本研究の目的は,社会的自己保存理論を基盤として,子どもの自尊心の傷つきや恥の感覚が生じやすいと考えられる学習場面ストレスについて,心理的・生理的指標(唾液中αアミラーゼ活性値:sAA,等)を用いて実験的に検証することである。実験の結果,課題成績の優劣や社会的文脈の捉え方(競争場面で他者に自らの能力を低く評価される,協同作業場面で他者に迷惑を掛けてしまう,等の懸念),課題に対する志向性,作業環境,などの要因が学習者の心理的・生理的ストレス(sAA値)の変化に影響している可能性が示唆され,学校現場における子どものための教育環境デザインの構築に資する知見が得られた。
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